抜歯が上手な先生、下手な先生!
先週、「抜歯途中の歯を抜いて欲しい」という依頼がありましたが・・
よく話を聞くと、1週間前に5時間も掛けて抜けなかったので、当院へ依頼が・・!
確かに難しい抜歯でしたが・・なんとか15分程で終了し3針縫合して帰っていきました。
患者様から詳しい話は、何も聞きませんでしたが・・・
若くて元気で責任感が強い、負けず嫌いな先生なんだろうなー!と勝手に推理
若くないと5時間もの抜歯は、体力が続きませんし、気丈でないと気力が続きません
少なくともこの先生はお金で仕事をしていない・・誠実で一生懸命な先生じゃないかと思います
1本の歯を15分で抜こうが、5時間掛けて抜こうが治療費は同じですから・・
普通は1時間やっても抜けなければ、中断して紹介状を書きます。
若い頃、僕も諦めず挑戦してましたから・・この先生の気持ちは良く分かります。
ある程度、歯科医として自信が付き始めた頃におちいる慢心の罠です。
普通は、ここで進む方向が2つに分かれます。
勉強してさらにその先へ進む先生と、歩みを止めて大学へ紹介の道を選ぶ先生!
当法人にも若い先生が数名いますが、困難だけど先へ進む道を推奨しています。
とは言っても、「患者様は1時間が限界だよ!」と教えます。
1時間経って抜けない時は、直ぐに誰かに交代するよう指導します。
大切なのは、自分の技術、能力を正しく客観的に把握して施術することで・・・
正しく診断して、自分ならどの程度の時間でどう抜くか、正しくシュミレーションできる事が大切
診断の段階で自分では無理だと分かれば、初めから上席の医師に頼めばいい!
ただ僕にも経験がありますが、若い時は自分でやりたいと思うものです。
やらなければ、上手にはなりませんから!・・これも歯科医のジレンマです。
そしてだんだん自分の能力が分かってくると・・・
大半の歯科医は、難しい抜歯、特に下顎水平埋伏智歯には手を出さなくなり・・
リスクを避け、全て大学へ紹介するようになります。
大学ではレントゲンで選別して難しい智歯は上席の先生へ、簡単なら新人へ・・
という過程をへて、抜歯が始まるので・・
当然「大学で親知らずを抜いたら、2時間も掛かった」という事が起きます。
しかし若い先生達が育つには、絶対に必要なことなので・・・
ボランティアできる人は、よろしくお願いします
今、深江歯科には遠くからも、インプラントや下顎水平埋伏抜歯に来ますが・・・
僕も初めから、上手に出来たわけではありません。
失敗しながら上手になって、今の自分があるわけで、患者様には感謝しています。
今ようやく技術を還元できるようなって、一生懸命に恩返しをさせてもらっています。
実は僕自身も、学生の時に自分の親知らずを、卒業したての先輩に1本・・・
残り3本は、後輩の勉強のために提供しました。
案の定、下顎智歯は2時間半掛かり冷や汗が出たのを覚えています。
この経験が有って、インプラントも抜歯も30分以内じゃないと辛い事が分かり・・
卒後はずっと、短時間でのオペを目指してきました。
計画を立て、プラン通りにやる技術を磨けば・・できる様になるものです。
為せば成る!ですね